寂去微留

寂去微留

読み方: ざっきょびる

 初出: ? p


 寂去(ざっきょ)(しず)かに去ること。
 微留(びる)(かす)かに留まること。

 法力使いが真理の探求の為に
 俗世との関わりを捨て、
 なるべくみんなの記憶から
 忘れられるよう寂かに過ごしてから、
 人知れずどこかへ去ってゆく事を
 「寂去」と言う。

 いつ、どこで居なくなったか
 ヘーワ協会にも把握できず、
 寂去が判明した後に捜索しても、
 相手は高度な知性(法力)と魔導を操れる
 法力使いなので、人間関係は全て畳まれており
 関係者も存在せず、縁を辿れる物や場所も
 全てが風化したかのような状況で、
 手がかりや足取りをつかむには
 大変な困難を極める。

 死んでいるのか生きているのか
 どうやっても調べられず、
 居るのか居ないのか曖昧だが、
 向人の寿命は無いに等しいので
 死んだと決める事もできない。
 かと言ってこの世へは戻らないし
 連絡も取れないので
 死んだも同然である。

 向こう側には行っておらず
 こちら側にも居ない状態。

 今にも消え去る寸前だが、
 微かにだけ留まったこの様子を
 「微留」と表現し、
 これには必ず寂去とセットなので
 まとめて「寂去微留」と言われる。

 やがて時間だけ過ぎ去り、
 「初めからそんな人は居なかった」
 というような雰囲気が出来上がって
 誰も自分を思い出さなくなれば
 法力使いにとって
 寂去微留は成功である。

 あらゆるしがらみを捨てて
 自らの影響がどこにも及ばない
 寂去微留した向人は、
 一切の気兼ねなく悠遠の時の彼方で
 真理の探求と法力の向上へと努め、
 やがていつか
 「これ以上 学ぶものが無い」
 という極地に至って
 全てを成し終える。

 その瞬間で微留を続ける事や
 居る理由さえなくなるので、
 今度は寂去ではなく寂滅。
 つまり死んでしまう。


 関連: 天降生 , 法力使い




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